いま買うべきスマートスピーカーは、AlexaかGoogleか──『WIRED』US版が選んだ5台

音声アシスタントの「Alexa」や「Google アシスタント」の進化に伴い、次々に新しいスマートスピーカーを発売されている。それでは実際に、どのスピーカーを購入すべきなのか。音質重視なら? 持ち運びたいなら? パーティーで使うなら? 『WIRED』US版による購入ガイド。
いま買うべきスマートスピーカーは、AlexaかGoogleか──『WIRED』US版が選んだ5台

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Amazon Echo」がスマートスピーカーのブームを巻き起こしてから数年経つが、もはやスマートスピーカーはアマゾンの独占分野ではない。2018年のマーケットには、すでに数十種ものスマートスピーカーが出ているうえ、これからも続々と発売される。ニーズに合わせて最適のスマートスピーカーを選ぶのは、必ずしも容易ではない。

まず、音声アシスタントを選ばなくてはならない。アマゾンの「Alexa(アレクサ)」、「Google アシスタント」、アップルの「Siri」、そしてマイクロソフトの「Cortana(コルタナ)」──。いまやアシスタントも4種類あるのだ。

さらに、どの特色が自分にとって最も重要なのかを考える必要がある。音質、音楽配信サーヴィスの「Spotify」との連携、ヴィデオ、ほかのスピーカーやスマートホーム機器との接続性──などだ。

こうした要素を踏まえ、「いま買うべきである」と『WIRED』US版が考えるスマートスピーカーを用途別に選んだ[編註:日本では未発売の製品も含む]。後発のSiriやCortanaが、どこまで追いついているかを知りたい人にとっても役立つはずだ。

ベストスピーカー:Sonos One

PHOTOGRAPH COURTESY OF SONOS

もっと大きな音を鳴らせるスピーカーもあるし、もっと持ち運びやすいものもある。だが、現時点ではSonos One以上にお買い得といえるスマートスピーカーはない(『WIRED』US版レヴュー10点満点中8点)。音質、マルチルームオーディオ、スマートホーム機器との互換性など、多くの面で水準が高いからだ。

音質の面でも、Sonos Oneはほぼ敵なしである。アップルのHomePod[日本語版記事]だけはサウンドでこれに勝るかもしれないと聞いているが、それでもOneをしのぐことはない。

HomePod1台の値段でSonos Oneを2台買えるという事実も見過ごせない。『WIRED』US版のレヴューによると、Sonos Oneはアプリのおかげで「太陽の下に存在する音すべてをプレイできるといってもいい」という。この機種は65を超える音楽サーヴィスと接続できる。実際に使ってみて、ここで見つけられなかったのは「Audible」だけだ。

Sonos Oneは単体でWi-Fi接続機能が備わった唯一のスマートスピーカーでもある。複数のスピーカーをスムーズにつなげるし、ホームシアターの一部としても利用できる。

音声アシスタントとしてアマゾンのAlexaを採用しているため、ほとんどのスマートホーム機器とも接続できる。しかも、Sonosは18年のうちにGoogle Homeにも対応させると確約している。そうなれば、2大ヴォイスアシスタントの両方に対応できる初のスマートスピーカーになるだろう。

スピーカーをどれかひとつ買うつもりなら、あなたの家を最も楽しく(そしてうるさく)してくれるのはこれだろう。

ベストポータブルスピーカー:JBL Link 20

PHOTOGRAPH COURTESY OF JBL

JBL Linkシリーズのレヴュー(8点)では、Sonos Oneなどのスピーカーと比べると、少しサウンドがくぐもった感じになる点を指摘した。その時点で気づかなかったのは、そんなことはたいした問題ではないということだ。これまで使ってきたすべてのスマートスピーカーのなかでも、JBL Link 20の使いやすさと利便性があれば、音質面での弱点は十分に補完できる。

まず、Link 20は防水機能を備えていて、プールに落としても浮かぶ。そのうえインジケーターランプが、バッテリー残量やWi-Fi受信の強度を教えてくれるのが便利だ。どちらもスピーカーを家(あるいは裏庭)のあちこちに移動させる人にとっては、非常に重要な要素といえる。

Bluetoothのペアリングも簡単で、ボタンをひとつ押すだけで操作完了となる。立てたままバッテリーを充電できるのもいい。ライヴァルのUE Blast、Megablastの場合、アダプターが別に必要となってしまう。バッテリー駆動時間が10時間というのも悪くない。

Link 20が対応するGoogle アシスタントは、多くの点でAlexaより機能が優れている。設定もはるかに簡単(Google Homeアプリをダウンロードするだけで、ほぼ完了)で、Alexa対応機器のように同期する際の問題はまず起こらない。

GoogleアプリやSpotify、Pandora、YouTube Musicなどのストリーミング配信にも対応している。こちらの質問に対する回答も、音楽の再生についても、より的確だ。Google アシスタントは、Chromecast端末を経由してNetflixの再生も可能なのがいい。

ベストパーティー向けスピーカー:Google Home Max

PHOTOGRAPH COURTESY OF GOOGLE

どんな広さの部屋でも大音量を出せるスマートスピーカーを探しているなら、Google Home Max[日本語版記事](『WIRED』US版レヴューで8点)を勧める。4.5インチ(約11.4cm)のウーファーのおかげで低音の響きもよく、相当な大音量を出せる。タッチパッドの音量調節も反応がいい。また底の部分にマグネットがついているので滑り止めになり、どんな場所に設置してもガタガタ揺れて音をたてることがない。このため、非常に引き締まったビートを保てる。

さらに、Maxには6つのマイクが内蔵されており、設置場所に合わせてベース音の強弱を自動調整する。Sonos Play:5に負けない大音量で再生可能だが、Sonos Oneほどクリーンでバランスのとれた音までは出せない。しかしガンガンに音量をあげて曲を響かせたいのなら、Maxにかなうものはないだろう。このスピーカー2台をペアリングするのもいい。

ほかのGoogleスピーカー同様、設定は簡単だ。Google Homeのアプリをダウンロードすれば、自動的にMaxをスピーカーとして認識してくれる。Google アシスタントはほとんどのGoogleアプリに対応しているので、Spotify、YouTube Music、Pandra、どのストリーミング配信からも曲を再生できる。

ベストスクリーン付きスマートスピーカー:Amazon Echo Show

PHOTOGRAPH COURTESY OF AMAZON

画面つきでヴィデオを再生できる製品も、まだスピーカーと言えるのか? そういう実存的な質問にはまだ答える準備ができていないが、スクリーンとサウンドを合体させたEcho Showは、なんとも魅力的だ(『WIRED』US版レヴューで7点)。ほかのEchoスピーカーより音質がよく、どのAlexa対応スピーカーより使い勝手がいい。そしてスクリーンはこの機種の強みだ。

どの機能についても基本的にAlexaに話しかけなければならないが、このスクリーンには新たな機能が加わっている。画面でいま流れている音楽を教えてくれるし、曲の一時停止やスキップも画面に示されるのだ。Amazon Musicの一部の楽曲については歌詞も画面に表示できる。

さらにはAmazon Primeヴィデオの再生が可能で、Alexaの最新ニュースもヴィデオヴァージョンを表示できる。音声通話とヴィデオ通話も可能だが、ヴィデオ通話の場合は相手もEcho Showを使っている必要がある。

当面Echo Showを超えるものはないと言っておくべきだろう。Googleは今年1月の「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で、LGエレクトロニクスなどのディスプレイを採用したスマートスピーカーを展示したが、これはまだ市場には出ていない。

ベストミニスピーカー:Google Home Mini

PHOTOGRAPH COURTESY OF GOOGLE

音楽にそれほど興味がない人にとって、スマートスピーカーをもつ特権を最も味わえるのはAmazon Echo DotとGoogle Home Mini[日本語版記事](『WIRED』US版レヴューで7点)だろう。これがあれば、いま使っているスピーカーを活用することもできる。Google Home Miniのほうを勧める理由は、現時点ではGoogle Assistantのほうが少し気に入っていること、そしてGoogle Assistantのスマートホーム機器との互換性が、ますます進化し続けているからだ。

Home Miniは天気を知らせてくれて、安らぎのサウンドを奏でて、さまざまな質問に答えてくれる。それにAlexaよりも文脈をきちんと把握してくれる。

さらに、これなら簡単にGoogleスピーカーを家のどんな場所にも置ける。音楽を聞かないようなときでも、いろんなことを尋ねたりできる。ましてやグーグルのエコシステムにはまっている人なら、頭を悩ませる必要もない。

惜しくも選外佳作のスピーカー

PHOTOGRAPH COURTESY OF ULTIMATE EARS

UE Blastと、サイズが大きめのMegablast(『WIRED』US版レヴューで8点)は、非常に優れたスマートスピーカーだ。JBL Linkよりさらに音がよく、防水機能つきで、バッテリー駆動時間も長い。

ただ残念ながら価格も高く、対応できるのはAmazon Alexaのみ。素晴らしい機種だがWi-Fi接続が不安定で、調節の精度が微妙なため、パーティーの盛り上がりに水を差す頻度がいささか多すぎる。Blastは230ドル、Megablast(こちらがお勧め)は300ドルで、充電ドックをセットで購入する必要がある。

JBL Link 10、300、500はお買い得だ。用途によってはLink 20に劣らず優秀な機種がある。Link 10は安定感があり、バッテリー駆動時間は5時間。Link 300(250ドル)も堅実な機種だが、300と500は電源が別途必要になる。

低音重視ならHarman Kardon Allure[日本語版記事](『WIRED』US版レヴューで7点)。だが、誰にでも勧められるものではない。かさばるし、ライトがついていて卵のように見える個性的なデザインである。だが、とにかく低音が素晴らしい。

ただし、これがAlexa対応スピーカーであることは頭に入れておいてもらいたい。すでにほかのAlexa対応スピーカーを使っている場合には、互換性の問題が起きる可能性がある。Allureの価格は250ドルだ。

音質を長所とするこの機種は、音質をさほど気にしないひとには購入を勧めない。スタンダードなGoogle Home(129ドル)、Amazon Echo 2(100ドル)、Amazon Echo Spot(130ドル)、Amazon Echo Plus(165ドル)で十分だ。音楽再生に問題はないので、げっそりさせられるようなことにはならない。ただし、安く済んだぶん、価格相応の音質以上は得られないことは忘れないでほしい。

SiriとCortanaはどうなのか?

アップルがついにSiri搭載スピーカーを発売し、マイクロソフトのCortanaスピーカーもHarman Kardon(ハーマンカードン)から登場している。いずれも『WIRED』US版の推奨ではないが、実際どの程度の水準だろうか?

まず、アップルの「HomePod」[日本語版記事](『WIRED』US版レヴューで6点)はアップルファン向けだ。HomePodはSonos Oneより音質が優れている、あるいは少なくとも劣りはしないという意見もあるだろう。しかしこれは、完全にアップルファン向けなのだ。

まず、Apple Musicにしか対応していない。それにSiriがこちらの質問を把握して正しく回答する能力は、AlexaやGoogleに比べると劣る。Homepodの価格はApple Storeで350ドルである。

一方、Harman Kardon Invokeはちょっとした“儲けもの”だ。Invoke(『WIRED』US版レヴューで7点)は、マイクロソフトの音声アシスタント「Cortana」に対応している。Cortanaは…評判がいいとは言えない。

だからといって、きちんと機能を果たさないわけではない。Cortanaが対応するスマートホーム機器は多くはないが、Spotifyなどのサーヴィスには対応している。Skype用スピーカーとしてはベスト機種だ。天候も教えてくれるし、ほかの音声アシスタントがもつ基本的な機能は、すべてこなせる。前に触れたかもしれないが、これは価格の2倍の価値があるスピーカーだ。なにしろ、Microsoft Storeでわずか100ドルで買える。

なぜ(いまのところ)Google Homeを勧めるか?

アマゾンのAlexaが好まれる理由はたくさんある。実際これはとても機能面で優れている。ショッピングやアマゾンのサーヴィスを利用するときに音声アシスタントを使いたいなら、Alexaスピーカーが最適だろう。

Google アシスタントは、スマートホーム機器との互換性や機能がAlexaより極めて少ないとはいえ、いまの状態でも十分に役立つ。さらにグーグルは、急速に新機能を増やしつつある。

Google アシスタント対応のスピーカー同士はワイヤレスでスムースにつなぐことができ、また幅広いGoogleアプリやサーヴィスに対応する。

対応する音楽配信サーヴィスは、Spotify、Pandra、Google Play Music、YouTube Musicとあり、これで楽曲のほとんどが網羅できるだろう。また、とっさの質問に対する回答もGoogle Homeのほうが的確で、外食に適した店の場所まで教えてくれる。なぜなら、スマートフォンに簡単に情報を転送できるからだ。

購入するタイミングは?

いずれにしても、これらのスピーカーを買うなら、いまが最適だろう。2018年後半には新しいスマートスピーカーが大量に出てきそうだが、音質が素晴らしいスピーカーにはやはりそれなりの値段がつくはずである。

Echo Showのような画面つきスピーカーもこれからさらに増えるだろう。今年はGoogle アシスタント対応の画面つきスピーカーも発売されるが、願わくば複数の音声アシスタントに対応した機種がもっと出てきてほしいところだ。Sonosはいずれ、Sonos Oneにその機能を加えると確約している。


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TEXT BY JEFFREY VAN CAMP

TRANSLATION BY YOKO SHIMADA