平成30年3月30日に収益認識に関する包括的な会計基準となる企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が公表されました。また、これに伴い平成30年度税制改正において法人税法等の改正が行われました。

1 「収益認識に関する会計基準」への対応についてのパンフレット等

 従来、法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売等に係るその事業年度の収益の額とされ、その収益の額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとされております。この規定を受けて、法人税基本通達等において具体的な収益の計上時期等についての取扱いが定められていたところです。
 今般、顧客との契約から生じる収益に関する包括的な会計基準として「収益認識に関する会計基準」が導入され、これを踏まえ平成30年度税制改正において資産の販売等に係る収益に関する規定の改正が行われています。「収益認識に関する会計基準」は、@「企業会計原則」に優先して適用される会計基準としての位置付けがなされており、A「履行義務」という新たな概念をベースとして収益の計上単位、計上時期及び計上額を認識する会計処理が行われることとされています。また、法人税法では新たに資産の販売等に係る収益の計上時期及び計上額を明確化する規定が設けられるなどの改正が行われています。
 これらを踏まえ、法人税基本通達においては、「収益認識に関する会計基準」における収益の計上単位、計上時期及び計上額について「履行義務」という新たな概念を盛り込んだ形で見直しを行うとともに、法人税法において収益の計上時期及び計上額についての規定が設けられたこと等に伴う取扱いの整理を行っています。
 なお、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされていますので、今般の通達改正により従来の取扱いが変更されるものではありません。
 「収益認識に関する会計基準」は平成30年3月に導入されたものであり、平成33年4月以後開始事業年度において本格的に適用されるものであるため、様々な業種や業態における私法上の取引に応じた会計処理については、今後明らかになってくるものと考えられます。そうした取引に応じた会計処理に関する税務処理について、今後、適宜公表してまいります。

(1) 「収益認識に関する会計基準」への対応について〜法人税関係〜(PDF/1,535KB)

(2) 法人税基本通達等の一部改正について

(3) 収益等の計上に関する改正通達(法人税基本通達第2章第1節部分)の構成及び新旧対応表(PDF/457KB)

2 収益認識基準による場合の取扱いの例

 今般の「収益認識に関する会計基準」の導入に伴い、法人税法等の改正が行われたところですが、取引の事例によっては、「収益認識に関する会計基準」に沿って会計処理を行った場合の収益の計上額、法人税における所得金額の計算上益金の額に算入する金額及び消費税における課税資産の譲渡等の対価の額がそれぞれ異なることがありますので注意が必要です。
 次の事例は、「収益認識に関する会計基準」に沿って会計処理を行った場合に、会計・法人税・消費税のいずれかの処理が異なることとなる典型的なものとなります。
 引き続き、処理が異なることとなる事例について適宜公表してまいります。

※ 消費税は、事業者が行う課税資産の譲渡等の取引を課税対象としており、売り手側の課税資産の譲渡等は、買い手側の課税仕入れとなります。
 このため、原則として、法令等に規定する一定の取引や、例えば、資産の譲渡における棚卸資産の引渡しの日について、売り手側は出荷基準、買い手側は検収基準を採用しているなどの場合以外は、売り手側の課税資産の譲渡等に係る対価の額や時期とこれに対応する買い手側の課税仕入れに係る対価の額や時期が異なることにはなりません。

○ 正誤表(平成30年6月5日)(PDF/81KB)

○ 収益認識基準による場合の取扱いの例(PDF/171KB)

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