公立大学法人大阪市立大学
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消防活動のさらなる強化に向けて 消防隊員の熱中症対策を科学的にサポート

 都市健康・スポーツ研究センターの岡崎和伸教授、大学院工学研究科の髙橋 秀也教授らの研究チームは、大阪市消防局と連携し、夏季の消防活動時における隊員の熱中症対策のための暑熱順化トレーニングおよび冷却効果の評価実験に取り組んでいます。

 大阪市立大学と大阪市消防局は、2017年6月に「消防隊員のヘルスケア等の研究開発に係る連携に関する申合せ」を締結し、昨年度から夏季の消防活動時における消防隊員の熱中症対策に取り組んでいます。今年度は、消防活動の現場で実施する対策について、その有効性を検証する研究を進めており、消防活動時の隊員の熱中症予防および消防活動の効率化のために有効な方法を明らかにしていきます。

 本取り組みは、市民の安全を守る消防隊員のヘルスケア対策を大阪市立大学が科学的にサポートすることで、消防隊員の健康状態を良好に保ち、消防活動のさらなる強化につなげることを目的としています。

5月から6月にかけて暑熱順化トレーニングおよびその評価実験を実施

 180813-1.jpg消防隊員20名を対象として、期間中の勤務日に暑熱順化トレーニングを実施しました。暑熱順化トレーニングは、各々の勤務する消防署や出張所において、消防服あるいは雨合羽を着用して30分ほどの中程度強度の運動を実施する内容で、期間中に10日ほど実施しました。

結果および成果

 暑熱順化トレーニングの実施前と実施後に、防火服着用による歩行時の深部体温、皮膚温、心拍数などの測定を実施しました。その結果、同一強度での運動時において、深部体温および心拍数が有意に低下し、さらに、“主観的な暑さの感覚”や“暑さに対する不快感”が軽減すること、さらに、同一条件での運動時間が有意に延長することを確認しました。つまり、本格的な夏を前にして、事前に暑さに慣れ、暑熱下の消防活動に対してより強い身体にトレーニングすることができたと言えます。
 今回の結果をもとに、大阪市消防局では全消防隊員に同様の暑熱順化トレーニングの実施を推奨しています。これらの取り組みから、全国の消防隊員に向けて、熱中症予防のための大阪モデルを検討し、提示していきます。
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8月1日・2日に給水・身体冷却(クーリング)効果の評価実験を実施

 消防活動を模擬した活動によって消防隊員の深部体温を約1℃上昇させたのち、一定時間の休息時における、身体の冷却効果、および、水分摂取による深部体温および皮膚温度の低下(クーリング)効果を評価しました。(評価実験の結果は現在分析中)

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